iDeCoは2016年の法改正によって加入者範囲が、公務員などを含む原則60歳未満の国民年金被保険者にまで広がったため、「誰でも利用できる老後資産形成制度」として広く知られるようになりました。
さらに、2020年の法改正によってiDeCoは利用できる人や期間がさらに充実します。
iDeCoは2022年制度改正でどうかわるのか、わかりやすく解説します。
また今回の改正により、これまでは、もう遅いと言われてきた50代でのiDeCoスタートにもメリットが拡大しています。メリット・デメリットをわかりやすくお伝えしていきます。
改正の概要
2022年4月1日からiDeCoの受取開始時期の選択肢が拡大
iDeCoの老齢給付金の受給開始時期の選択肢が拡がります。
- 受給開始時期の上限が 70歳 ⇒ 75歳に延長
2022年3月末までは、iDeCoの受取期間は図の青い部分になり、60歳から70歳まででしたが、今回の法改正で水色の70歳から75歳までが追加されました。
この法改正は2022年4月1日から有効になりますが、同じタイミングで公的年金も受取開始の選択肢が拡大されます。改正前の公的年金は、受取開始を60歳から70歳までの間で選べます。
2022年4月1日からは公的年金とiDeCoの両方とも75歳からの受取を選択できるようになります。「受取開始を遅らせる」と聞くと制度が改悪したと感じてしまう人もいるかもしれませんが、この改正は受取開始時期を強制的に遅らせられるわけではなく、あくまで選択肢が広がっただけなのでポジティブな改正といえるでしょう。
今までと変わらず早くから年金やiDeCoを受け取りたい場合は、60歳から受取も可能です。
2022年5月1日から加入可能年齢の拡大
2022年からのiDeCoの変更点2つ目はiDeCoへの加入年齢が拡大することです。
2022年の改正前はiDeCoへ加入できるのは、60歳未満であることが条件になっています。これが2022年5月からは、国民年金の被保険者であれば原則65歳未満まで加入できるようになります。
新たに下記の方がiDeCoに加入できるようになります。
- 会社員・公務員など(国民年金第2号被保険者)で60歳以上65歳未満※の方
- 国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の方
- 国民年金に任意加入している海外居住の方
※公的年金の加入期間が120月に満たない等、国民年金第2号被保険者であれば65歳以上も加入可能
2022年10月1日から企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和
2022年からのiDeCoの変更点3つ目は、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している人でも、iDeCoに入りやすくなることです。
2022年10月の改正前は企業型確定拠出年金に加入している場合は、企業型DC規約でiDeCoへの加入を認めていないとiDeCoへの加入ができないというハードルがありました。
しかし、2022年10月1日からは企業型確定拠出年金に加入している人でも原則iDeCoに加入できるようになります。
iDeCoの掛金の限度額は企業型DCのみに加入している場合と、企業型DCに加えて確定給付企業年金(DB)等に加入している場合とで以下の表のように異なっています。
現在、企業型DCに加入している方で拠出額が5万5,000円か、2万7,500円に届いていない人は、iDeCoに追加加入することで掛金を出せるようになります。ただし、企業型DCの中でも、マッチング拠出をしている場合は、iDeCoとの同時加入はできません。
マッチング拠出とは企業型DCの制度の一つで、会社が拠出する掛金に加えて加入者本人が掛金を上乗せして拠出できるものになります。
iDeCoかマッチング拠出のいずれかを選択する必要があるので注意が必要になります。
50代スタートのメリット拡大!
2022年のiDeCoに関する改正ですが、多くの方にポジティブな変更といえそうです。
特に50代で子どもの教育費などが終わって老後資金準備をスタートしたいといった場合、60歳までだと加入期間が短く、iDeCo加入に消極的になっていた人もいます。
しかし、65歳まで会社で働き続ける予定の方であれば、例えば55歳から加入したとしても、最大で10年加入できることになります。
改正前では50歳以降でiDeCoに新規加入した場合は、60歳時点の通算加入者等期間が10年未満だと60歳で受け取れず、受取可能となるまで運用のみを行う期間が必要となる人がいました。
その間、掛金は拠出できないので所得控除の恩恵は受けられず、口座管理手数料を負担して残高を運用するしかありませんでした。
さらに受取開始時期も、最大で75歳まで遅らせられるので、55歳から75歳まで運用した場合、20年間も非課税で運用できるようになります。
今までiDeCoに興味があっても、始めるには遅すぎたと感じていた方でも今回の改正後は、iDeCoを有効活用するチャンスが広まったといえます。
まとめ
今回の2020年改正でますます利用の選択肢が広がったiDeCo。
豊かなセカンドライフを送るために、制度の改正の中身をよく知って、自分のライフスタイルに合わせて活用していきたいものです。
老後資金の大きな助けとなるのが公的年金ですが、先述の通り受取時期を繰り下げることで給付額を大きくし終身受け取ることできると、老後が長くても安心していられます。
公的年金受取を繰り下げる期間を、労働収入やiDeCoから受け取る資金を活用できると、公的年金繰り下げも有利な選択肢のひとつとなります。
iDeCo未加入の方であれば、このタイミングで一歩踏み出してみることで豊かなセカンドライフや私も目指しているサイドFIREを引き寄せることも可能になります。
私がiDeCoをスタートしたのは40歳のとき。税金面でのメリットも大きく、個人的にはNISAやつみたてNISAよりも最優先かと考えています。その理由については、別記事でお伝えしていきます。