医療費控除の申告をするには、個人事業主の方でも、普段は年末調整の対象者である会社員でも自分で確定申告する必要があります。確定申告して医療費控除を受けるための必要書類や対象期間、期限についてわかりやすく解説します。
令和元年分確定申告の医療費控除とは?
申告する方やその方と生計を一にする配偶者その他の親族のために、令和元年(平成31年)中に支払った医療費がある場合は、次のとおり計算した金額を医療費控除として、所得金額から差し引くことができます。
医療費控除を受けるためには、「医療費控除の明細書」を、所得税の確定申告書に添付して所轄税務署に提出する必要があります。
医療費控除の確定申告(還付申告)に必要書類・提出書類は?
医療費控除は平成29年分より2種類の控除から選択できるようになりました。
セルフメディケーション税制を適用する場合には、通常の医療費控除の適用はできません。(選択適用)。
セルフメディケーション税制とは
セルフメディケーション税制の制度の概要
健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている方が、その年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために12,000円以上の対象医薬品を購入した場合には、「セルフメディケーション税制」(通常の医療費控除との選択適用)を受けることができます。
適用を受けられる方
セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に、「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っている居住者が対象となります。
一定の取組とは、次の取組をいいます。
- 保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
- 市区町村が健康増進事業として行う健康診査
- 予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
- 勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
- 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
- 市区町村が健康増進事業として実施するがん検診
※1 申告される方が一定の取組を行っている必要があります(申告される方と生計を一にする配偶者その他の親族の方が「一定の取組」を行っている必要はありません。)。
※2 「一定の取組」に要した費用は控除の対象となりません。
対象医薬品の範囲
対象医薬品は、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、薬局やドラッグストア等で購入できる医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)とされています。
セルフメディケーション税制の適用を受けるための手続・必要な書類
セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、次の書類の提出が必要です。
- セルフメディケーション税制を適用し計算した確定申告書
- セルフメディケーション税制の明細書 ※令和元年分の様式は12月中旬に公開する予定です。
- 一定の取組を行ったことを明らかにする書類(提示によることもできます。)
従来通りの医療費控除の場合は?
それに伴い、平成29年分の確定申告から、医療費の領収書の代わりに、「医療費控除の明細書」の提出が必要になりました。
- 医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要があります。
- 平成29年分から令和元年分までの確定申告については、医療費の領収書の添付又は提示によることもできます。
- 医療費控除の明細書は、医療費の領収書が多い場合などは、医療費集計フォームで入力すると便利です。「医療費集計フォーム」に入力・保存したデータは、確定申告書等作成コーナーの医療費控除の入力画面で読み込み、反映することができます。
確定申告の必要書類は?
確定申告書のほか、申告内容に応じて、給与所得や公的年金等の源泉徴収票(原本)、医療費の領収書等の必要書類を準備します。
申請内容により、添付書類は異なります。詳しくは国税庁のホームページ「申告書に添付・提示する書類」を確認ください。一般的に医療費控除を受ける場合、以下の書類が必要です。
- マイナンバーカード
申告書に記載された申告者ご本人のマイナンバー(個人番号)については、税務署で本人確認を行うため、次の本人確認書類の提示又は写しの添付が必要です。 - 給与所得者の源泉徴収票(勤め先)
- 医療費の領収書もしくは、「医療費控除の明細書」
- このほか還付金を受け取る「銀行口座の通帳」や「印鑑(シャチハタ以外。認印も可)」
確定申告の医療費控除の対象期間や期限は?
医療費控除の対象期間は前年の1月1日から12月31日までです。医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日まで)のうちに病気やケガのために病院へ入院したり、通院したりした際の治療費などを一定額以上支払った場合に「医療費控除」として所得から差し引くことができるものです。
医療費控除を確定申告できる「期間」は?
これは医療費控除に限らない「確定申告の期限」のことです。令和元年(2019年)度分の提出期間は、白色申告・青色申告ともに2020年2月17日(月)から2020年3月16日(月)までです。2020年3月16日(月)までに、添付書類と必要書類を必ず提出しましょう。
実は、医療費控除は税金を払いすぎた場合の「還付申告」であれば、1月から確定申告できます。つまり2019年分は、2020年の1月1日から2024年の12月末日まで5年間、提出できます。(ただし年末年始は税務署がお休みなので注意してください)
医療費控除を「申告できる申告の『期限』」は二通り
医療費控除の期限は二通りあります。
確定申告書を提出する義務のない方の還付申告は、還付のための申告書を提出できる日から5年間の期間内に行うことができます。この「還付のための申告書を提出することができる日」とは、その年の翌年1月1日です。
令和元年分の医療費控除の適用を受ける申告は、令和2年1月1日から5年間、すなわち令和6年12月31日までの期間内であれば還付のための申告書を提出することができます。
一方、個人事業主の場合には、例年の確定申告で医療費控除の申請をし忘れたとしても、5年以内に「更正の請求」をすることにより、医療費控除を受けることができます。なお、上記でいう「5年以内」とは、医療費が発生した翌年の1月1日から起算して5年間という意味です。
令和元年の医療費控除を受けるための更正の請求は令和2年1月1日から起算して5年なので、令和6年12月31日までということになります。
まとめ
確定申告の医療費控除。日頃から確定申告をされる自営業者、個人事業主の方なら医療費控除も当り前にされていると思いますが、サラリーマンやパート主婦の方でも還付申告をすることで、所得税や住民税の還付をうけれる場合があります。
医療費控除は、家族の分まで申告できるので、家族全員分を合わせると、意外と1年間を通じて支払っている額が多かったりもするものです。
医療費控除は1年間の医療費が10万円を超えないと受けられない、と思ってスルーしている方もありますが、その年の総所得金額等が200万円未満の人の場合、総所得金額等の5%の金額以上払っていれば医療費控除の対象になります。また、新設された「医療費控除の特例」いわゆるセルフメディケーション税制も10万円以下でも控除の対象となります。
最初は難しそうに感じますが、やってみると意外に簡単です。医療費控除は所得控除なので、所得によって決まる翌年以降の支払いや受け取れる手当に影響します。この影響は実は大きいです。
医療費控除を受ける機会があれば、確定申告を行って還付金を戻してもらう検討をしてみてはいかがでしょうか。
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