「年収800万円を超えると幸福度は上昇しなくなる」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。橘玲さんの「幸福の資本論」の中でも語られており、この本は「お金と幸福度」を考えるきっかけとなるエピソードが詰まっています。
今回は幸福の資本論でも語られる「年収800万」に焦点を当てて、年収800万以上の割合や、手取り額、生活レベルについて調べてみました。
年収800万以上の割合は?
国税庁の平成29年分民間給与実態統計調査によると、給与所得者の平均年収は432万円です。
- 800万円~900万円の割合は2.9%
- 年収800万以上の割合は9.3%
年収800万円以上の給与をもらっている人の人数は458万人、割合は9.3%となります。年収800万円以上だと、上位10%以内に入るので一般的には「年収が高い」方に分類されるでしょう。
男女別でみると
- 男性:800万~900万円の割合は4.4%
- 女性:800万~900万円の割合は0.7%
- 男性:年収800万円以上の人数は3,913千人、割合は13.7%
- 女性:年収800万円以上の人数は421千人、割合は2.0%
男女で開きがあることがわかります。
年収800万の手取り額は?
配偶者控除・扶養控除などの有無、交通手当などの非課税所得にもよりますが、サラリーマンで年収800万円の場合、税金や社会保険料が差し引かれた手取り額は600万円前後となります。
ボーナスを加味せずに考えると、月々の手取りは約50万円となります。
年収800万の生活レベルを考える!
年収800万の生活レベルについて語る前に、前述の「お金と幸福度」について確認してみます。お金と幸福の関係については、経済学の基本でもある「限界効用の逓減」にも触れておかなければなりません。
限界効用の低減とは
限界効用逓減(げんかいこうようていげん)の法則とは、人間が追加的に感じる満足度は少しづつ減っていく傾向のことです。限界効用逓減の法則を利用すれば、満足度の最大化を図ることができます。
「限界」とは「限界」は「体力の限界」など、これ以上超えられないギリギリのラインを意味する限界とは異なり、「追加的な」という表現が適切です。
何かを追加する、という意味です。この場合では、財の消費を1単位を増やすことを、「限界(追加的な)」という言葉で表現しています。
「効用」とは、人間が感じる満足度を意味しています。
限界効用の低減の例
よくビールの例で例えられます。暑い日に仕事が終わってさあ1杯という時の、1杯目のビールの一口目。これほど美味しいものはないでしょう。
それが、2杯目、3杯目と進むうち最初の感動的な美味しさは薄らぎ惰性で飲むだけとなる場合などです。
このとき、ビールの美味しさを「効用」といいます。ビールを1単位(1口目から2口目、ジョッキ1杯目から2杯目)追加したときの美味しさ=効用の変化が「限界効用」です。ビールを飲めば飲むほど(投入する単位を増やせば増やすほど)美味しさ=効用はすこしずつ減っていくので、限界効用が逓減するのです。
スイーツでも同じことが言えます。甘い物が食べたいと感じていたときに食べるスイーツの一口目って最高に幸せな美味しさです。でも同じものを2つ目、3つ目と食べるとしたら、満足度が薄らぐばかりか、甘すぎる、もう要らない・・となっていまいます。これが、限界効用が次第に低下していく、ということです。
お給料でいうと、月収10万円のひとが、「来月から1万円アップで11万円にします!」と言われれば大喜びですが月収100万円のひとが(1単位増えて)101万円になったとしても、それほど有り難みはない・・といったことになります。
年収800万との関係
お金の限界効用はどのように逓減するのかというと、これはもちろん個人によって異なりますが、アメリカでは年収7万5000ドル、日本では年収800万円を超えると幸福度はほとんど上昇しなくなると言われています。さらに興味深いことに、アメリカと日本で幸福度が一定になる金額はほとんど変わりません。
年収800万の実際の生活レベルは?
800万円というのは1人あたりの年収ですから、家族の場合は世帯年収が1500万円を超えるとお金の限界効用はゼロに近づきます。共働きで1500万か、専業主婦の場合は夫の年収が1500万ということです。
日本人の平均年収は420万円ほどですので、倍の800万円となると普通よりも優雅な生活が送れそうですが、実際のところはどうなのでしょうか?
年収800万円(世帯年収で1500万円)あれば、生活のことや子育てについてお金の心配をせずに過ごせるようになります。きちんと管理ができている家庭なら、引き落とし日前に、口座の残高を気にしてあっちの口座残高をこっちに移して・・など慌てないで済む状況になれそうです。
子持ちで専業主婦は厳しい
年収800万円の生活は、独身であればお金に余裕のある生活ができます。夫婦2人でも不自由をすることはありませんが、家賃や理想の貯蓄額を考えると、ゆとりある生活というほどでもありません。
子供がいる場合には教育をどのように受けさせていくかにもよりますが、幼稚園から大学までの学費は最低でも500万円、私学に行かせたり下宿をさせると大学でけでも1000万円以上かかります。
その他に塾や習い事に行かせるお金も考えると、子供がいる家庭で妻が専業主婦をするのは難しいでしょう。
ひとりで年収800万円(夫婦世帯だと年収1500万円)
ひとりで年収800万円(夫婦世帯だと年収1500万円)稼げるようになると、世間標準より少し上の生活を楽しみ、世間並みのレジャー予算も捻出できますので、お金が足りないことの不安はほとんどなくなります。子どもを私立医科歯科系に進学させるともなれば別ですが、子どもの教育費の捻出に苦労するということもなくなりそうです。普通に暮らしながら貯蓄をする余裕も生まれてきます。
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まとめ
- 年収800万の割合・・・2.9%
- 年収800万以上の割合・・・9.3%
- 年収800万円の税金や社会保険料が差し引かれた手取り額は600万円前後
「幸福の資本論」の中に
- お金を稼ぐことは、幸福になるもっとも確実な方法だ
というものがあります。ただし「年収800万円」までは年収が増えるほど幸福度が増しますが、それ以上はあまり幸福度は増えない、とも指摘しています。ただしこれは、「お金は幸福をもたらさない」ということではありません。
年収800万円までは年収が増えるほど幸福度が増すというのであれば、そこを目指すとのもアリですし、実際年収800万円(世帯年収で1500万円)あれば、生活のことや子育てについてお金の心配をせずに過ごせるようになります。年収800万円得られたら、安心して生活ができそうです。
今後を考える
日本の給与所得者の平均年収は432万円であることから考えると、年収800万はハードルが高く感じるかもしれません。
ただし、「年収800万円」までは年収が増えるほど幸福度が増すという点に着目すれば、いきなり800万円でなくとも、「今の年収より多くして、少しでも800万円に近づく」と考えれば、年収50~100万円上げてみる、という考え方もいいのではないでしょうか。
間違いなく、今よりも幸福度が増すはずです。
これからの時代、なんとなく過ごしているだけでは苦しくなるばかり。何かしら手を打たないと、と漠然と感じている人も増えています。
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