働き方改革の影響や、昨年来のコロナ禍でサラリーマンやパートであってもプラスアルファで副業をしている人も増えています。
また、2015年4月から「ワンストップ特例制度」が設けられて以降ふるさと納税も人気ですが、サラリーマンで副業収入がある場合は、ワンストップ特例制度は使えず、確定申告が必要になります。
副業の確定申告はいくらから必要か?ふるさと納税のワンストップ特例制度が使えない場合はどうすればいいのかなど、FPがわかりやすく解説します。
副業の確定申告はいくらから必要か
副業の定義
副業とは「本業を持っている方が、それ以外で収入を得ること」で、一般的に会社員の方を対象としています。
副業にはどんなものがあるかというと
- 空いた時間にカフェなどでアルバイトをする
- 夜や週末だけ家庭教師をする
- 週末だけコーチやカウンセラーとしてコンサルする
- ライターとしてWeb記事を書く
- ブログを作ってアフィリエイト収入を得る
- アクセサリーや小物を製作してネット販売する
など、さまざまな副業があります。
確定申告に関係していえば、実は仕事の内容によって所得の種類(区分)が違うのです。
カフェでアルバイトは、「給与所得」。コーチやカウンセラー、ネット販売なら「事業所得」。アフィリエイト収入は、事業として継続収入なら「事業所得」、継続性がなければ「雑所得」など。
副業の確定申告はいくらから?
副業をしたからといって、必ず確定申告しなければならないわけではありません。
基本的には年間所得が「20万円」を超える方は確定申告が必要になります。ここで重要なのは「収入」ではなく、「所得」が20万円以上という点です。
収入は手元に入ってきた金額そのもの、所得はその金額からかかった経費などを差し引いた利益に該当するものを指します。
そのため、収入が20万円を超えていても、経費を差し引いて所得が20万円以下になるのであれば確定申告は必要ありません。
「20万ルール」と呼ばれるものですが、この20万ルールは、本業で年末調整を受けている人たちのためのものということです。
サラリーマンやOLさんなど、本業の給与収入で年末調整を受けていて、その上で副業をしている人たちが該当します。
ですので、自営業者などが副業としてなにか本業と違うことをやった場合は該当しないので注意が必要です。
副業の確定申告が不要になる場合
- 副業がパートまたはアルバイトであって、年間収入が20万円以下
- 副業がパートまたはアルバイト以外であって、年間所得が20万円以下
- 副業がパートまたはアルバイトとそれ以外の複数であって、それぞれの収入と所得の合計が年間20万円以下
ここで大切なのは、「収入」と「所得」の区別です。
これら、収入と所得の総額が年間20万円以下であれば、申告は不要です。
所得税の確定申告が不要でも住民税の申告は必要
「サラリーマンのアフィリエイト所得が20万円以下なら確定申告せずに済むかもしれない」というのは、所得税に限った話です。
住民税にはこの条件による申告免除の仕組みはありません。確定申告が不要なサラリーマンでも申告しないとけないので注意が必要です。
副業している人は注意!ふるさと納税のワンストップ特例申請は使えない
ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度です。
「納税」という名前なので税金と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は「寄付(寄附)」をすることになります。
手続きをすると、寄付金のうち2,000円を超える部分については所得税の還付、住民税の控除が受けられます。
ワンストップ特例制度とは
ワンストップ特例制度をカンタンに説明すると「確定申告が不要なサラリーマンが確定申告をしなくても、ふるさと納税の寄附金控除が受けられる制度」のことです。
ふるさと納税をして、所得税や住民税の控除を受けるためには確定申告が必要でした。
しかし、ワンストップ特例制度が平成27年度に導入されてからは、確定申告をしなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けることができるようになりました。
ワンストップ特例制度をうけるには3つの要件があります。
3つの要件
- 確定申告不要の給与所得者等
- ふるさと納税の寄付先が1年間で5ヶ所以内の自治体
- ワンストップ特例申請書の提出
副業しているとワンストップ特例は使えない
「ワンストップ特例だから確定申告が不要」「副業は所得20万円以下だから申告は不要」と考えている人は注意が必要です。
ワンストップ特例は使えず、住民税は申告漏れとなる可能性があります。この対処法は確定申告をすることです。
20万円以下の副業は確定申告すると税金が増えることがある
副業の所得が20万円以下、ふるさと納税の控除を受けるために確定申告すると税金が増えることがあります。
例えば副業の所得が20万円の場合、確定申告は不要です。しかし、確定申告をすると20万円に対する所得税が発生するからです。
注意点をまとめると
- 副業をしているとふるさと納税のワンストップ特例は使えない
- そのため、ふるさと納税の控除を受けるためには確定申告が必要
- 確定申告する時は、副業の所得が20万円以下の人は税金が増えることがあるので注意が必要
サラリーマンやパートでお勤めで、ふるさと納税を利用していて、確定申告したくないから、所得を20万円以内に抑えよう・・というのは得策ではないことがわかります。
確定申告を行う必要がない人でも、確定申告をすることで税金の還付を受けたり、税金を払わなくて済んだりする場合があります。
年末調整しても確定申告をした方がいいケースとは
年末調整で漏れなく控除しきっても、年末調整で控除できないものもあります。
- 医療費控除
- 寄付金控除(ふるさと納税含む)
- 住宅ローン1年目(2年目以降は年末調整で控除できます。)
- 雑損控除
- 特別支出控除
こういった場合は、確定申告をすることで税金の還付を受けたり、税金を払わなくて済んだりする場合があります。
メリットを受けるため、確定申告をする場合には、20万円以下の副業所得も申告しなければならないということになります。
まとめ
副業で確定申告する必要があるかどうかの基準の1つにいわゆる「20万円ルール」があります。
20万円ルールとは、副業の所得が20万円以下の場合は確定申告をしなくても良いというルールです。
- アルバイトやパートの収入が1年間で20万円以下であれば確定申告の必要はない
- 副業の所得が20万円以下であれば確定申告をする必要はない
- アルバイトやパートの収入とそれ以外の所得の金額を合計して、20万円以下であれば確定申告をする必要はない
副業収入がある場合は、ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」は使えません。
税の控除を受けるには、確定申告をしなければならず、その場合には、20万円以下の副業の所得であっても、申告しなければならいので注意が必要です。
最近増えている副業やダブルワークをしている方は確定申告の必要があるかないか注意が必要です。
ちょっと手間に見える手続きですが、確定申告をすることによりお金が還付されるケースもあります。
確定申告が面倒だから、副業の所得を20万円以内に抑えようというのは残念な発想と言えるかもしれません。
せっかくなら、確定申告が必要な程稼いで、正しい申告と正しい節税を楽しみたいものです。