早期退職やリタイヤ後に海外移住を考えている人も増えてきましたよね。また、リタイア後でなく現役時に海外に移住されることも大いにあり得ることでしょう。憧れの海外移住ですが、そのときにこれまで掛けてきた年金はどうなるか、掛け続けられるのか、ちゃんと受け取れるのか、気になります。
年金の支払いや手続きの方法を確認しながら、損のないように、そして海外でも日本に戻ってからも少しでも豊かな年金暮らしを送るためのポイントをお伝えします。
海外移住 年金はどうなるか?
海外赴任をした場合に加入する年金制度
社会保障協定が発効済みの国に5年以内の期間で海外赴任をする会社員の場合
- 赴任中も原則日本の年金制度(厚生年金)に継続して加入
- 赴任する国の年金制度に加入する必要はない
- 加入手続きは不要で、必要に応じて適用証明書を赴任先の国の保険機関などに提示
- 赴任期間は5年以内とされていることが多く、日本で暮らしているときと変わらずに、厚生年金保険料を支払い続ける
社会保障協定が発効されていない国に赴任する場合
- 原則、赴任する国の社会保障制度へ加入する
- 日本の企業との雇用関係が継続していれば、厚生年金にも加入することになる
- 赴任する国の社会保険料は、会社が負担する場合もあるので確認してみましょう
会社を辞めて海外移住する場合
会社員や公務員でない場合、日本では国民年金に加入することになるわけですが、国民年金には「国内居住要件」というものがあり、海外に移住した場合は「加入対象外」ということになります。
つまり、海外移住すると基本的に国民年金を払わなくてよいことになります。ただし、少しでも年金額を増やしたいとか、加入期間が10年に足らなくなり年金が1円ももらえなくなるのは困るという場合もあります。
そういう方のために、国は「任意加入」という制度を設けています。海外移住する方は、国民年金を払う払わないは自分で選択する、ということになります。
払わない場合はどうなる?
外居住している期間については保険料を払う「義務」がないため、国民年金の保険料を払わなくても「滞納(未納)」とはみなされません。
国民年金法上、この期間のことを「合算対象期間(カラ期間)」と言い、年金を受け取るのに必要な期間(受給資格期間10年)に含めることが可能です(滞納(未納)期間は受給資格期間に含めることができません)。
しかし、期間に含めることができるだけで、年金額には反映されません。またカラ期間中に障害年金を受け取れるような障害の状態になった場合に、障害年金が支給されないことになり、このリスクは考えておかなければならない点です。
国民年金の任意加入手続きや支払いの方法は?
海外移住すると「公的年金」の加入義務はなくなりますが「国民年金への任意加入」が重要になってきます。
任意加入の手続きの方法は?
- これから海外に転居する人・・・お住まいの市区町村窓口
- 現在海外に居住されている人・・・日本国内における最後の住所地を管轄する年金事務所または市区町村窓口
に任意加入の申請をすることになります。
保険料の納付方法は?
保険料を納める方法は、
- 国内にいる親族等の協力者がご本人のかわりに納める方法
- 日本国内に開設している預貯金口座から引き落とす方法
があります。
保険料の支払い方法については、日本の金融機関の口座を残しておくなら、その口座から口座振替により納付することができます。口座がない場合は、国内にいる親族等が代わりに支払ってくれる場合は、親族に保険料の納付書を送り、それで親族が代わりに支払うことになるようです。
いずれの場合でも、海外に移住する前に、手続きをしておく方が簡単で確実でしょう。
将来の年金はどうなる?
- 任意加入被保険者も国内の国民年金第1号被保険者同様、受給要件を満たした場合、保険料納付済期間に応じた老齢基礎年金を受け取ることができる
(任意加入しても保険料を納めない場合には、年金額には反映しません。) - 任意加入したうえで保険料を納めることで、海外在住期間に死亡したときや病気やけがで障害が残ったときに遺族基礎年金や障害基礎年金が支給される
帰国や一時帰国した時の手続は?
任意加入被保険者の方が帰国し、日本国内に住所を有した場合(住民票への登録)、国民年金は強制加入被保険者となります。強制加入には手続きが必要ですので、転入された市区町村役場にて手続きを行うことが必要です。
一時帰国などで短期間だけ国内に住所を有した場合(住民票への登録)でも、その期間については強制加入被保険者となりますので、手続きが必要になります。
年金支払の手続きは?
受給資格ができれば国が自動的にお金を振り込んでくれるわけではありません。海外移住するしないにかかわらず、年金をもらうには「裁定請求」という請求手続きが必要になります。
海外に移住した人への年金請求書の事前送付は行っていないため、海外移住者専用の請求書類を日本年金機構のホームページからダウンロードして、自ら手続きをとる必要があります。
この請求書類に必要事項を記入して、日本で最後に暮らしていた地域を管轄する年金事務所、もしくは街角年金相談センターに提出します。
添付書類は、基本的には日本国内で裁定請求するときのものに加えて、「年金の支払を受ける者に関する事項」「租税条約に関する届出書」なども必要になります(いずれも日本年金機構のホームページからダウンロード可能)。
「年金の支払を受ける者に関する事項」は、住所変更と振込口座の届け出がひとつなったもので、海外送金先を確認するために必要な書類です。
年金の支給が始まったら
海外での年金受給は、日本と同じでように2か月に1回。指定した銀行口座に2か月に振り込まれますが、忘れてならないのが「現況届」の提出です。
「現況届」は、不正受給などを防ぐために年金受給者の生存を確認するためのもので、年に1回送られてくるものです。
これが届いたら、現地の領事館などで誕生月を含めた過去6か月以内に発行してもらった「在留証明書」を添えて、年金事務所に返送するようにしましょう。
提出しないと大切な年金がストップしてしまうので、誕生月の末日までに忘れずに送るようにしてください。
書類に不備がなく裁定請求ができれば、老後に年金をもらいながら海外で生活することは可能ですが、結構手間もかかります。委任状があれば、家族や親類などが代行手続きをすることができるようになっていますが、その場合でも移住前にできるかぎりの準備と手続きをしてから出発するようにしたいものです。
まとめ
- 年金の加入記録をチェック
- 加入期間が10年に満たない場合や、年金をできるだけ多く受け取りたい場合は任意加入を
- 任意加入の手続きは移住前に済ませ、保険料の引落口座を管理
- ねんきん定期便の転送届を提出
- 年金を受け取れる年齢になったら「裁定請求」を忘れずする
- 年金を受け取り始めたら年に1回の「現況届」を忘れずする
あこがれの海外移住ですが、移住先によってその国の制度や日本との協定の有無、内容も様々。年金を含め、健康保険など多くのことが自己責任となります。年金に関しては、移住する前に年金事務所等で移住先の制度の確認など十分にしておきたいものです。
また、月々の生活費は安くて済む場合でも、万が一病院にかかるなどの場合に大きな出費となることもあります。医療事情なども事前に情報収集しできるだけの備えもしておきたいものです。
今後を考える
これからの時代、なんとなく過ごしているだけでは苦しくなるばかり。何かしら手を打たないと、と漠然と感じている人も増えています。
あなたはいかがですか?
憧れの海外移住。移住した先でも、ネット環境さえあれば年金以外の継続収入が作れるとしたらどうでしょうか。
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