会社勤めの人にとって定年や定年退職年齢は非常に気になるポイントです。2019年5月には、政府は希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための高年齢者雇用安定法改正案の骨格を発表しました。まだ努力義務という位置付けですが、今後の動向が注目されます。
2019年現在、法律では定年年齢は何歳なんでしょうか?定年退職年齢は時代と共に変遷しています。定年退職年齢の推移もみておきましょう。
2019年定年年齢は法律では何歳?
2019年現在の定年年齢に関する法律を簡単に説明すると、60歳を下回る年齢で定年を設けてはいけないと定められています。つまり59歳以下を定年年齢として、定年退職させることは法律上禁止されているということです。
定年年齢の上限についてですが、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)が平成25年に一部改正・施行され、以下の3つの措置を取るよう企業に義務付けています。
- 65歳まで定年を引き上げる
- 65歳まで継続雇用制度を適用
- 定年を廃止する
経過措置として、以下のように決まっています。
平成25年3月31日までに労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主については、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第78号)の経過措置として、平成37(令和7年)年3月31日までは、老齢厚生年金の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められています。
(参考)老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢
平成 31 年 4 月 1 日から平成 34(令和4)年 3月 31日まで 63 歳
平成 34(令和4)年 4 月 1 日から平成 37(令和7)年 3 月 31日まで 64 歳出典:厚生労働省
定年延長義務化では定年退職年齢が65歳まで延長された訳ではなく、希望者を65歳まで雇用することを義務付けています。
2013年から段階的に雇用の義務化の経過措置を設け、65歳完全義務化は2025年4月からです。
定年退職年齢の推移
1970年代日本において、大企業であっても55歳が定年退職年齢でした。1980年以降60歳に引き上がっています。かつては男女別に違う定年年齢を設けている企業も少なくありませんでした。今の時代には考えられませんね。
定年年齢は以下の通り推移してきました。
- 昭和61年60歳(高年齢者雇用安定法による努力義務)
- 平成10年60歳(高年齢者雇用安定法により60歳未満の定年を禁止)
- 平成18年原則65歳(労使協定を結んでいる場合は、60歳以上の従業員について再雇対象者を限定することが可能)
- 平成25年原則65歳(「1-2-2」に記す経過措置対象の事業所を除き、希望すれば65歳までの再雇用を義務付け)
- 令和7年原則65歳(「1-2-2」に記す経過措置終了、希望すれば65歳までの再雇用を義務付け)
そして令和元年5月、政府は希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための高年齢者雇用安定法改正案の骨格を発表しています。法改正により「定年延長・定年廃止・契約社員などでの再雇用」に加え
- 他企業への再就職支援
- フリーランスで働くための資金提供
- 起業支援
- NPO活動への資金提供
これらを努力義務として企業に対応を求めることになります。
一定期間の努力義務や経過措置を置きつつ、従業員が希望すればより高い年齢まで働き続けられる方向に向かっています。
まとめ
正確にいうと定年制度は法令で設置が義務付けられている制度ではないので、会社ごとに違っています。定年年齢を75歳と定めても良いし、定年年齢を定めなくても良いのです。つまり会社ごとの就業規則や定年退職規定で自由に決めて良いものではあります。
定年の上限は何歳までとは規定はありませんが、下限は「高年齢者雇用の安定等に関する法律」で60歳を下回る定年年齢を定めることはできないとなっています。
- 定年延長義務化では定年退職年齢が65歳まで延長された訳ではない
- 希望者を65歳まで雇用することを義務付け
- 2013年から段階的に雇用の義務化の経過措置を設け、65歳完全義務化は2025年4月から
- 令和元年5月政府は希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための高年齢者雇用安定法改正案の骨格を発表→企業は努力義務として取り組まなければならない
定年年齢が上がるのはメリットもありますが、メリットばかりではありません。年金や失業手当のもらえる金額が変わるなどデメリットもあります。
企業の定年制度がどのように定められているか、就業規則で確認をするとともに、60歳~65歳までまた、それ以降のご自身の働き方について、しっかり事前に計画しておくことが大切です。
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