多焦点眼内レンズは保険対象外のため、保険診療が行えません。そのため、多焦点眼内レンズの種類や各医療機関により費用が異なり、大きくは先進医療と自由診療に分けられます。
これまで先進医療とされた白内障の多焦点眼内レンズでの水晶体再建術を受けた場合には、民間の保険の「先進医療特約」の給付対象になっていました。それが給付の対象から外れるという情報が保険会社からも出ています。その辺りの情報をわかる範囲でわかりやすくお伝えします。
またここで出てくる選定療養とはどういった制度なのかについても解説していきます。
多焦点眼内レンズでの水晶体再建術、先進医療から選定療養へ
厚生労働省は12月13日の中医協総会に、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」を先進医療Aから削除し、新たに選定療養とすることを提案し、了承されました。
先進医療は粒子線治療(重粒子線、陽子線)などが有名ですが、最も費用をかけて実施しているのは、白内障治療に用いる多焦点眼内レンズです。
多焦点レンズを用いた先進医療の費用は、17年7月から1年間で約156億円(約2.4万件)。先進医療の総額約240億円の半数超を占めていて、2020年度の診療報酬改定で、先進医療を継続するのか、保険適用とするのか自費診療とするのかの判断が注目されていました。
今回の先進医療から「選定療養」とされることが決まったということになります。
選定療養とは?
選定療養とは、被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養をいう(第63条2項5号)。患者が選定し、特別の費用負担をする追加的な医療サービスのことです。
選定療養は、社会保険に加入している患者が、追加費用を負担することで保険適用外の治療を、保険適用の治療と併せて受けることができる医療サービスの一種で健康保険法で規定されており、保険外併用療養費制度に基づいたサービスです。
保険適用の治療と適用外の治療を同時に受けることから、混合診療と混同されがちですが、定義は大きく異なります。
混合診療との違いとは?
- 選定療養は、法律によって認められている
- 選定療養は、患者が全額を負担する必要がない
混合診療の場合、患者は保険適用の治療も全額負担しなければならない。選定療養であれば、患者は保険対象の治療に対し、一部負担金(原則3割)のみを支払えば良い。
選定療養の例
- 特別の病室に入院をした場合(いわゆる差額ベッド代)
- 歯科の金属材料差額(金属床総義歯、金合金等)
- 200床以上の病院の初診、一定期間後の再診
- 予約診察制をとっている病院での予約診療
- 規定回数以上の医療行為(リハビリなど)
- 診療時間外の診療(緊急やむを得ない場合は保険適用(診療報酬点数表上の「時間外加算」の対象となる))
- 180日以上の入院(入院医療の必要性が高い場合は除く)
- 小児う触の治療後の継続管理(フッ素付加等)
- 13歳未満で虫歯の数が多く、歯科医院で虫歯予防についての継続的な指導を受けている場合は保険適用。
多焦点眼内レンズの使用を選定療養に位置付け、通常の水晶体再建術に係る保険診療との併用を認めることとする、というのが今回承認された内容のようです。
民間生保の先進医療特約からも外れる?
「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が先進医療から外れるとなると、民間生保の先進医療特約の対象ではなくなります。
今回の件に関わらず、民間生保の先進医療特約は、「受診可能な先進医療は療養を受けた日現在に定められているものに限られ、変更されることがあります。」との記載があります。
(オリックス生命2019年10月作成キュアパンフレットより抜粋)
実際に、眼科のホームページ等に「多焦点眼内レンズの先進医療は2020年3月で終了することが確実になりました。多焦点で先進医療をご希望の方は、早めの手術予定をお願い申し上げます。」といった記載が見られます。
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まとめ
多焦点眼内レンズでの水晶体再建術が、先進医療から削除され、選定療養となることが承認されました。2020年度の診療報酬改定で、反映してくるものと思われます。
実際に民間生保において、先進医療特約を使用している件数は「白内障の多焦点眼内レンズ挿入術」がもっとも多く、一部の保険会社では先進医療保険特約の中から「白内障の多焦点眼内レンズ手術」を外す動きもあったと言われます。
もし、民間生保の先進医療特約に加入されていて、白内障の多焦点眼内レンズ挿入術を先進医療で受ける予定や話が出ている方なら、先進医療から外れるまえに検討するのも一つかもしれません。
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