この記事では、2020年4月からスタートしている大学無償化(高等教育の修学支援新制度)の最新情報と高等教育の修学支援新制度に関する情報をまとめてお伝えします。
大学無償化(高等教育の修学支援新制度)2021年(令和3年度進学予定者)募集に関する最新情報
令和3年度進学予定者(令和2年度現在の高校3年生等)の高校を通じて申込(予約採用への申込)は、令和2年4月より申込を受け付け、令和2年7月に受付を終了しています。
進学先を通じて申込(在学採用への申込)
高校での申込に間に合わなかった場合も含め、進学先の大学等での申込が可能です。
令和3年度については、4月頃及び9月頃の申込受付を予定していますが、詳細はJASSOから大学等を通じて案内されます。
なお、4月頃申込を行った場合は4月分から、9月頃の申込を行った場合は10月分からの支給となります。
該当になりそうな方、利用希望の方は、入学すぐの4月の大学からの案内を見逃さないようにしてください。
予約採用が決定している人
入学時
- 採用候補者決定通知を進学先の大学等へ提示し、
- JASSOへの進学届の届出をします。
- また、併せて、授業料等減免の申請を大学等へ行います。
入学時に、3つしなければならないことがあります。締切日は大学によって異なったりしていますので、自分の大学の手続き期限を厳守して手続きしましょう。
昨年もそうですが、コロナの影響で大学構内に入れる入れないや手続きの期限なども学校によって異なりますので入学したら期限の確認はまっさきにしておきましょう。
支援の開始
給付型奨学金は4月又は5月から、毎月、本人の口座に振り込まれます。(4月分から支援されます。)
授業料や入学金の減額または免除は、大学等によって異なるので、大学等の窓口に聞いてみましょう。
ここも大学によりますが、1年生の後期の授業料は免除額を予め差し引いた金額で払込票が作成されます。
入学金、前期授業料、設備費等は、入学前に振り込まなければならないスケジュールになっているケースが多いため、入学金と前期授業料、設備費など最初に振り込み予定の金額分は自己資金の準備が必要です。
どうしても自己資金での準備が難しい場合には、以下の資金準備が選択肢に入ってきます。
- 日本政策金融公庫の教育ローンなどの各種教育ローン
- 条件350万円借り入れ可能(2021年3月現在の表示は、固定金利1.68%、最長15年の長期返済)
- 合格前から申込可能(必要時期の2~3ヵ月前のお申し込みを推奨している)
- 入学資金の場合は、合格通知書などを確認してから後の振込みとなる
- 社会福祉協議会の「教育支援資金」
- 無利子
- 学費等の必要費用が不足する場合,日本学生支援機構奨学金(入学時特別増額貸与・給付型・第1種・第2種)との併用は可能
- 母子世帯・父子世帯・寡婦世帯 母子父子寡婦福祉資金を優先して相談することが必要
- 在学証明書、合格通知書または入学許可書の写し、受験票または検定料納付書の控えなど就学・進学の事実および必要費用等がわかる書類の提示が必要
大学無償化2022年(令和4年度進学予定者)募集に関する最新情報
給付型奨学金は、進学する前年の4月下旬から、高校などを通じて日本学生支援機構(JASSO)へ申し込むことができます。
授業料等減免は、入学時に、進学先の大学等に申し込みます。
高校によって制度の認知度や対応に差があるとも聞きます。
学校からのアナウンスを待つばかりでなく、JASSOの給付型奨学金の制度に関してや、文部省の高等教育の修学支援新制度(高校生の皆さんへ)のページなどで流れや必要書類を確認し、学校の先生にこの制度を利用したい旨の申し出をし、早めに行動するのがいいでしょう。
新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて家計が急変した方への支援
高等教育の修学支援新制度(日本学生支援機構給付奨学金・授業料等減免)は、通常年に2回(4月・10月)募集を行いますが、予期できない事由により家計が急変した場合は事前相談で事情を確認したのち、随時、出願を受け付けます。大学の学生課など担当の窓口でまずは相談してみてください。
予期できない事由により家計が急変し、急変後の収入状況が住民税情報に反映される前に緊急に支援の必要がある場合には、急変後の所得の見込みにより要件を満たすことが確認されれば給付奨学金の支援対象となります。※すでに大学等に在学している人が対象です。
状況により証明書類は異なりますが事由発生に関する証明書類として、以下のものが使えます。
- 新型コロナウイルス感染症に係る影響による収入減少があった者等を支援対象として、国及び地方公共団体が実施する公的支援の受給証明書
- これに類するものと認められる公的証明書
母子家庭の手続きや申請・利用の疑問に答えます
Q.母子家庭の場合、大学も無償になるんですか?大学無償化って母子家庭なら適用されますか?
この質問を結構見かけますが、母子家庭だから大学が無償になるわけではありません。
学力基準と家計基準(収入基準・資産基準)を満たさなければなりません。
生計維持者と学生本人が、次の「収入基準」及び「資産基準」のいずれにも該当する必要があります。
日本学生支援機構の奨学金制度における生計維持者とは、学生・生徒の学費や生活費を負担する人を指し、原則として父母がこれに当たります。
- 父母がいる場合は、原則として父母(2名)が生計維持者となります。
- 父又は母のいずれか(1名)を生計維持者とするケース
- 父又は母と死別している場合
- 父母の離婚等により、父又は母と学生・生徒は別生計となっている場合
「離婚等」には、離婚調停中、DVによる別居中、又は未婚の場合なども含みます。
- ただし、以下のケースでは、生計維持者は2名となります。
- 学生・生徒が未成年であり、父母が離婚した場合で、例えば、親権のない母と同居し、
- 親権者である父と別居している場合は、生計維持者は親権者を含めた父母(2名)です。
- 離婚した(又は死別により)父又は母が再婚(事実婚を含む)し、学生・生徒と再婚相手が同一生計の場合は、生計維持者は父又は母とその再婚相手(2名)です(養子縁組の有無は問いません)
- 父又は母が、生死不明、意識不明、精神疾患等のため、意思疎通ができない場合
質問の多い事項としては、同居の祖父母や学生本人の兄妹が同居しており年金収入や所得がある場合、祖父母の年収や同居の兄妹の年収も含めるのか?というものですが、上記の通り、父母が健在なら、まずは父母の二人と学生本人、あるいは父・母いずれか1人と学生本人の所得と考えていいです。
そのほか、特別にイレギュラーなケースなどはJASSOの奨学金相談センターで確認してください。
Q.母子家庭で大学無償化の対象なのですが、母親だけの収入が300万未満です。姉が同居していて収入があります。この場合、対象の収入は、合算額になりますか?母親だけになりますか?
母子家庭だから大学無償化の対象であるとは限りません。
母子家庭であれば、「母親」が「生計維持者」となります。兄弟姉妹は「生計維持者」にはなりませんので、同居の姉の収入は審査に影響を与えません。
それぞれの区分における収入の上限額の目安は以下のとおりとなります。
世帯人数 | 想定する世帯構成 | 第1区分 | 第2区分 | 第3区分 |
---|---|---|---|---|
(a)2人 | 本人、母(○) | 207 | 298 | 373 |
(b)3人 | 本人、母(○)、中学生 | 221 | 298 | 373 |
(c)4人 | 本人、親A(○)、親B(無収入)、中学生 | 271 | 303 | 378 |
(d)4人 | 本人、親A(○)、親B(○)、中学生 | 親A:221 親B:115 | 親A:242 親B:155 | 親A:320 親B:155 |
(e)5人 | 本人、親A(○)、親B(パート)、大学生、中学生 | 親A:321 親B:100 | 親A:395 親B:100 | 親A:461 親B:100 |
世帯人数 | 想定する世帯構成 | 第1区分 | 第2区分 | 第3区分 |
---|---|---|---|---|
(a)2人 | 本人、母(○) | 125 | 176 | 230 |
(b)3人 | 本人、母(○)、中学生 | 137 | 178 | 234 |
(c)4人 | 本人、親A(○)、親B(無収入)、中学生 | 172 | 191 | 255 |
(d)4人 | 本人、親A(○)、親B(給与所得者)、中学生 | 親A:137 親B:115 | 親A:138 親B:155 | 親A:185 親B:155 |
(e)5人 | 本人、親A(○)、親B(パート)、大学生、中学生 | 親A:207 親B:100 | 親A:256 親B:100 | 親A:309 親B:100 |
あくまで目安です。収入基準は収入・所得に基づく課税標準額等により設定されているため、世帯構成、障害者の有無、各種保険料の支払い状況等により、目安の金額を上回っていても対象となる場合や、下回っていても対象とならない場合があります。
Q.大学無償化について。母子家庭の非課税世帯です。再来年に子供が大学進学したいみたいなんですが、返還不要の奨学金審査が通ったらどのようにお金が振り込まれますか?また、離れて1人暮らす事になるので仕送りとかするのですが、私立大学だと年間91万ほど援助が受けれるそうですが、それは毎月もらえるのかまとめてもらえるのか知りたいので詳しく分かる方いたらお願いします。
高校3年生の4月に予約採用に申し込みをします。
給付型奨学金に関しては入学前年(3年生)の秋頃、予約採用候補としての決定がなされます。
授業料等減免の申込みは大学に入学してからです。4月の入学して比較的早い時期に手続きしなければなりません。
授業料等減免の上限額(年額)住民税非課税世帯の学生の場合
給付型奨学金の給付額住民税非課税世帯の学生の場合
給付型奨学金は4月又は5月から、毎月、本人の口座に振り込まれます。(4月分から支援されます。)5月からの場合は5月に2ヶ月分が振り込まれます。以降は毎月1回振り込まれます。
授業料や入学金の減額または免除は、大学等によって異なるので、大学等の窓口に聞いてみましょう。
Q.大学無償化法が成立されましたが、これについて質問です。私の家は、母子家庭なのですが、祖母と一緒に暮らしています。この場合祖母の年金も年収に加算されるのですか?
母子家庭で扶養義務者がお母さんであるあなたになっているなら、生計維持者であるお母さん1人と学生本人の収入が影響し、祖母さまの年金などは年収に含まれません。
Q.大学無償化がでてますが、大学入学時だけ母子家庭になっていればいいと考えてしまう人がでてくるとおもいませんか?
ご夫婦で世帯分離だけでは生計維持者は両親2人となります。そこで偽装離婚の話が浮上するのですが、そのために一旦、籍を抜くということもする人もいるかもしれません。
ですが、籍を抜いている期間中に双方いずれかに万が一があったりした場合、配偶者ではありませんので、遺族年金や生命保険の受取ができないなどリスクもありますし、制度の趣旨からいうとそういった対応は子どもの教育上も良くないと感じます。
Q.給付型奨学金について、高校を通じた予約採用へ申し込もうとしたところ、高校での申込期限が過ぎていました。もう新制度への申込の機会はないのでしょうか
授業料等減免及び給付型奨学金の新制度については、進学先の学校で申込むことも できます。
高等学校における予約採用手続きに申込できなかった場合であっても、入学時に、進学先の大学等で申し込むこともできますので、具体的な提出書類や申込期限について、進学先の大学等にお問い合わせください。
なお、給付型奨学金と授業料等減免は同時に支援を受けることができますが、別途の申込が必要ですので、進学先の学校において、給付型奨学金と授業料等減免の両方にお申込みが必要です。
また、1年次の4月分から支援を受けるためには、進学時(定められた期限内)に手続きを行う必要があります。大学からのアナウンスを逃さないよう注意が必要です。(進学時(定められた期限内)に申請を行った場合には、4月分から支援を受けられます。)
Q.生活保護との関係はどうなりますか。
生活保護制度においては、世帯の子どもが大学等に進学すると、進学者本人は世帯の生活保護からはずれ、本人分の生活保護費が支給されなくなります(世帯分離)が、新制度による授業料等減免や給付型奨学金を申し込み、利用することができます。
Q.所得要件について、どの時点での所得が「住民税非課税」等の判定対象となるのでしょうか。
住民税の課税標準額等については、毎年6月に、前年1月~12月の所得を基にした最新の内容に更新されます。
進学予定の方を対象とした「予約採用」の申込にあたっては、申込を行う前年1月~12月の所得を基にした最新の住民税課税標準額等が、新制度の所得要件の判定対象となります。支援受給期間中は、毎年夏頃に最新の課税標準額等を確認し、その判定結果をその年の10月以降の支援額に反映します。
※ N年10月~(N+1)年9月の支援額は、(N-1)年1月~12月の所得をもとに判定することになります。
Q.世帯所得には、本人(学生等)の所得も含まれますか。
所得に関しては、本人(学生等)と生計維持者(原則、父母)の合計額により、基準を満たすかどうかを判定します。本人に所得があって市町村民税を課税される場合(※)は、所得の判定に影響することとなります。
(※)本人(未成年)の年収が額面で200万円(成年の場合には額面で100万円)を超えるような場合は、市町村民税を課税されることがあります。
学生本人にこの内容は周知してもらっておくよう気をつけたほうがいいでしょう。
Q.資産についての具体的な要件(基準)と、資産の対象範囲を教えてください。また、資産に関する証明書類等も提出する必要がありますか。
学生等及びその生計維持者の保有する資産※の合計額が、以下の基準額に該当することとなっています。
(基準額)
- 生計維持者が2人の場合 は2,000万円未満
- 生計維持者が1人の場合 1,250万円未満
※ 対象となる資産の範囲 : 現金及びこれに準ずるもの、預貯金並びに有価証券
の合計額(不動産は対象としない)銀行口座の写しなど証明書類の提出は求めませんが、虚偽申告がないことについて書面で誓約していただくことになります。
虚偽や不正が判明した場合には、支給額の返還に加えて、JASSOはその4割の額の納付を求めることができます。
出典:支援措置の対象となる学生等の認定要件について
Q.所得や資産に関する要件の確認は、誰が行うのでしょうか。
給付型奨学金の申込者が、所得の要件を満たしているのか、申込者から提出されたマイナンバーを活用してJASSOが市町村民税の課税状況などの情報を確認しますので、申込者本人とその生計維持者(原則、父母)のマイナンバー関係書類をJASSOに送付する必要があります。資産についても、JASSOに申告する必要があります。
まとめ
大学無償化2021年制度の最新情報とまとめについてお伝えしてきました。
コロナ対応や母子家庭の手続きや申請の疑問も色々あると思いますが、ネット上で検索して確認してみる、大学なら学生課の担当窓口、JASSOの相談窓口などに直接電話等で質問や相談をしてみることが必要です。
知っているか知らないかも大事ですし、手続きに締め切りがあることも多いので、タイミングも大事です。