日本でも話題になりつつある「FIREムーブメント」。英語で「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとってFIREです。
経済的な安定を早期に確立し、早期リタイアを実現しようという取り組みを表しています。
なんとなく憧れも感じますが、早期リタイアには多額の貯金が必要な印象もあり、自分には無理と思った方もいるのではないでしょうか。
私は、「無理」と決め込んでかかるのは少し勿体ないと思っていて
- 「FIRE」に過大なストレスなく近づく
これが、今現在の私の理想です。
そのために必要な基本の考え方や、根本になっている資産運用の考え方を「FIREムーブメント」初心者にわかりやすく、解説します。
また、「FIRE」に近づくために今すべきこともお伝えしていきます。
FIREとは
FIREとは、英単語の頭文字から取られた造語です。
Financial ・・・ 経済的
Independence ・・・ 独立
Retire ・・・ リタイア(現役引退)
Early ・・・ 早期
「経済的自立と早期退職」。定年を待たず、なるべく早期にサラリーマン生活を終え、資産運用などを中心に生活していくライフプランです。
日本では早期リタイアは「富裕層だけが実現できる悠々自適の生活」のイメージが強いかもしれません。
しかし、FIREの考え方は、ビジネスで成功したり遺産相続したりといった特定の人だけがなし得る生活ではない、というのが、昔からある早期リタイアと異なる点です。
「なるべく早期にサラリーマン生活を終え」と前述しましたが、FIREでいう「リタイア」は完全な「退職=仕事を辞める」ではなくてもいいわけです。
生活のためのお金に縛られず、自分にとって価値のある、本当にやりたい仕事をする、あるいは、しない選択肢もある・・といった状態と捉えると、さらにFIREが身近になります。
「お金のためにヘトヘトになるまで働く縛りから自分を解放する」という、ライフプランや概念のことと捉えれば、限られた富裕層だけが手にする生活ではなく、20代、30代、40代から普通の若者や普通の家庭でも目指せるライフプランといえそうです。
「FIRE」に過大なストレスなく近づくには
FIREを実現するための資産運用の「4%ルール」
「FIRE」という言葉が流行し、一大ムーブメントになったアメリカでは、「FIRE」を実現する目安として、「4%ルール」が注目されています。
「4%ルール」とは、年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で生活費をまかなえるという考え方。
例えば1億円があって年4%の収益(つまり年400万円)を毎年確保すれば、資金は減らさずに年収400万円の生活を送れることになります。
年間支出が仮に250万円なら、6,250万円の資産を築いて年利4%で運用すれば、理論上は資産を維持したまま生活できるということになります。
FIREのタイミングの目安は年間支出の25倍の金額
早期リタイアのために必要な貯蓄額として、FIRE実践者の間で一つの定番となっているのが「年間支出の25倍」です。
これは年齢に関わらず共通の指標となっています。
25年分の生活費しかカバーできていない・・と思う方もいるかもしれませんが、重要なのは、このFIREの貯蓄額は「投資元本」であるということです。
この「投資元本」が準備でき、かつ年利4%で運用すれば、投資元本を減らさず生活ができる、という理論です。
一生働かないことに固執しない
FIREが特徴的なのは、経済的自立のためにお金持ちになることがゴールなのではなく、あくまで豊かな人生を楽しむことが目標とされています。
働くことを否定しているわけでもありません。
豊かさの定義はそれぞれですが、私の中では
生活のためのお金に縛られず、自分にとって価値のある、本当にやりたい仕事をする、あるいは、しない選択肢もある・・といったステージに立つこと
と定義していて、絶対に生活費の25倍を貯めてからしかスタートできないとか、1億円を40歳までに貯めて引退する、という凝り固まった目標設定でなくてもいい、と考える方が過大なストレスなくFIREに近づけそうです。
夫婦の場合認識は共通の方がいい
かたや、FIREを目指し節約や投資に励んでも、かたや消費や浪費で過ごすようでは、FIREの実現が難しいばかりか、日々喧嘩のもとがあとを絶たないということになりかねません。
独身やシングルであれば、稼ぐのも遣うのも投資するのも自分の判断だけで行なえますが、夫婦の場合は、そもそも家族でどんな未来が目指したいのか・・から認識を共通にしておくのがいいでしょう。
もっといえば、結婚前にそんな話ができるといいのかもしれません。
FIREの実現のために今すべきこととは
思い立ったときからすぐ!マネープランの王道を実践する
資産を殖やすには
- 収入を増やす
- 支出を減らす
- お金に働いてもらう
マネーセミナーやお金の本で必ず言われることです。
日本経済新聞の「早期引退の夢「FIRE」したい人がいますべきこと」においても
- 所得の最大化をはかるべく、仕事で年収を増やす方法を強く意識する
- 支出の最小化をはかるべく、固定支出、日ごろの生活費を削減する
- 収支差額を資産形成に回し、リスクとリターンのバランスを意識しつつ高い利回りの確保を目指す
とあり、アプローチはマネープランの王道そのものです。
マネープランの王道から考えても、効率的に資産を作っていくためには、なるべく早くはじめ、長く続けていくことが目標達成への近道です。
自分にとってFIREが可能になる資産がいくらか試算する
「年利4%で運用すれば」の部分に関しては、普通預金や定期しか経験がなく全くの投資初心者の人にとっては、そこが難しいと感じる方もあるかもしれませんが、長期分散投資の世界では年利4%で運用することはそこまで難しいことではありません。
ここでは、自分にとってFIREが可能になる資産がいったいいくらかイメージして早速、目標設定してみましょう。
年間支出200万円なら資産5000万円が目安
年間支出250万円なら資産6250万円が目安
年間支出300万円なら資産7500万円が目安
年間支出400万円なら資産1億円が目安
年間支出700万円なら資産1億7500万円が目安
ここは、個人や世帯で感覚が違う部分ではありますが、総務省が公表している「家計調査年報 家計収支編 (2019年)」によると、2人暮らし世帯の消費支出の平均は25万6,632円でした。
年間支出300万円とするとFIREに踏み切れる目安は資産7500万円となります。
こうやってちょっと計算するだけでも、支出を調整(変化)することで、FIREの実現が近くも遠くもなることがわかります。
FIREの実現を可能にすること焦点を当てれば、支出の見直しにも意欲がわきますし、何でもかんでも窮屈に節約倹約ではなく、メリハリをつけたり、あるいは場合によっては将来のために「我慢」もアリかもしれません。
いずれにしても、夫婦なら、夫婦で共通認識を持っておくほうがいいでしょう。
サイドFIREやプチFIREを楽しむと考える
FIREムーブメントでは40歳代あるいは50歳代前半での早期リタイアを目指すことが多いようです。
例えば自分の場合でいえば、アラフィフ世代ですので、すでにFIREムーブメントの概念の範囲からは外れているかもしれません。
ですが、気がついた今からFIREを目指してみることで、複業をしながら自分軸でビジネスを楽しむサイドFIREだったり、当初思っていた「70歳まではなにが何でも収入を得なければ」という現実が5年早く生活のための労働から解放される・・というプチFIREだったり・・。
これらが実現できれば、何も気づかずなんとなく過ごして老後を迎えるよりも、はるかに豊かなセカンドライフを迎えられると思います。
まとめ
英語で「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとってFIREです。
FIREとは、経済的な安定を早期に確立し、早期リタイアを実現しようという取り組みを表しています。
リタイヤも完全な退職である必要はなく、
「生活のためのお金に縛られず、自分にとって価値のある、本当にやりたい仕事をする、あるいは、しない選択肢もある・・といったステージに立つこと」
といったニュアンスで捉えると、夢もあり実現に近づきやすいと感じます。
FIREの実現に向けて
- 思い立ったときからすぐ!マネープランの王道を実践する
- 自分にとってFIREが可能になる資産がいくらか試算する
- サイドFIREやプチFIREを楽しむと考える
遅いということはありません。
思い立ったいまからでも、FIREに近づくための行動を起こすこと、それ自体を楽しめたら今より素敵なセカンドライフを過ごせそうです。