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年金生活の親を扶養に入れると節税に!メリットと注意点とは?

親を扶養に入れると、所得税・住民税の節税につなげられるなどのメリットがあります。

ひと言で「親を扶養にいれる」といっても、扶養には「税制上の扶養」と「健康保険上の扶養」の2種類があり、それぞれ扶養の定義や条件が異なります。

この記事では、各扶養に親を入れるとどのようなメリットがあるのか、わかりやすく解説します。

親を扶養にいれるメリットはあるのですが、デメリットや注意点もあります。知らずに「エッ!?知らなかった」ということがないように注意点も知っておきましょう。

扶養には2種類ある

扶養には「税制上の扶養」と「健康保険上の扶養」の2種類があり、それぞれ扶養の定義や条件が異なります。

税制上の扶養

税制上の扶養に親を入れると、扶養者つまり子の所得税と住民税が控除され、各納税額が低くなります。

例えば、70歳以上の親を扶養に入れた場合、老人扶養控除が適用されるため、所得税や住民税を節税できるでしょう。

扶養控除を適用することで課税所得が少なくなり、支払わなければならない所得税と住民税の額面が軽減されるしくみです。扶養する子にとってメリットがあります。

また、扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを障害者控除といいます。

健康保険上の扶養

健康保険の扶養に親を入れた場合は、子の健康保険で親の健康保険までカバーするため、親が自分の保険料を支払う必要がなくなります。

扶養される親にとってメリットです。

ただし、健康保険の扶養ができるのは子が会社員等で勤務先の健康保険に加入している場合です。

子が自営業等で国民健康保険に加入している場合は、健康保険の扶養控除は受けられません。

親と同居している場合の条件は以下のとおり。

  • 年間収入が130万円未満(親が60歳以上、または障害厚生年金を受けられる程度の障害者である場合は180万円未満)
  • 年間収入が、子である被保険者の年間収入の2分の1未満

この場合遺族年金や障害年金も収入に含みます。別居の親も扶養に入れることは可能ですが、親の年収以上の仕送りが必要となります。

親を扶養家族にした場合、親は健康保険料(税)を支払わなくてもよい、子が親の分の医療費控除を受けられる、といったメリットがあります。

しかし、75歳以上になると後期高齢者医療制度として、健康保険の制度から独立した制度の対象となり、親を健康保険上の扶養家族にすることはできなくなります。

親を扶養に入れる注意点とは

親を扶養に入れるのはメリットが多いように思えますが、注意点もあります。

親の介護費用の負担が増える可能性がある

親を自分の扶養に入れると、親の介護費用の負担が大きくなる可能性があることです。

介護保険制度は、低所得であるほど金銭的負担が軽減される仕組みに設計されています。

介護保険制度下での「所得」は個人所得だけではなく、世帯所得も対象です。親を扶養に入れていない状態、つまり親が別世帯である状態なら、親の所得で判断されて負担軽減措置の対象になり得ます。

しかし、収入がある子の扶養の状態つまり子と同じ世帯の場合は、世帯所得が高くなり負担軽減措置から外れてしまうこともあり、結果、自己負担額が増えるおそれがあります。

高額療養費制度の自己負担額が高くなることがある

親が扶養に入ると、高額療養費制度の自己負担限度額が高くなることがあります。

これは、給与収入などの所得に応じて自己負担の限度額が決められる仕組みです。

所得区分を「①現役並み」「②一般所得者」「③低所得者」とした場合の自己負担額は、以下の通り。

被保険者の所得区分

自己負担限度額

外来
(個人ごと)

外来・入院
(世帯)

①現役並み所得者現役並みⅢ
(標準報酬月額83万円以上で高額受給者証の負担割合が3割の方)

252,600円+(総医療費-842,000円)×1%[多数該当:140,100円]

現役並みⅡ
(標準報酬月額53万~79万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方)
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%[多数該当:93,000円]
現役並みⅠ
(標準報酬月額28万~50万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方)
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%[多数該当:44,400円]

②一般所得者
(①および③以外の方)

 18,000円
(年間上限14.4万円)

 57,600円
[多数該当:44,400円]

③低所得者 Ⅱ(※1)

 8,000円

 24,600円

 Ⅰ(※2)

 15,000円

70歳以上の外来療養にかかる年間の高額療養費に関しては、基準日(7月31日)時点の所得区分が一般所得区分または低所得区分に該当する場合は、計算期間(前年8月1日~7月31日)のうち、一般所得区分または低所得区分であった月の外来療養の自己負担額の合計が144,000円を超えた額が払い戻されます。

※平成29年8月診療分からが対象となります。

まとめ

60歳を超えて年金所得がある場合、税法上は所得控除の計算をする必要があり、また、健康保険との上限金額が違います。

年齢について、健康保険は75歳未満が対象のため、75歳以上の方は扶養には入れません。その場合、必要に応じて75歳以上が対象の後期高齢者医療制度や、高額療養費制度へ加入することになります。

税法と健康保険の両方の扶養に入れるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 親の年齢:75歳未満
  • 親の年収:108万円以下(65歳未満の場合)、130万円以下(65歳以上の場合)

親を扶養すると節税できるメリットがありますが、世帯所得次第では介護保険の負担が大きくなりかねません。

自分の収入や家庭状況、親の健康状態などを考慮したうえで、扶養制度を活用しましょう。

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